給与・人事制度について考える

17.11.7

 

1.17年度人事院勧告のポイント

@人事院勧告とは

・1947年 全官公を中心に計画された二・一ゼネスト(GHQの命令で中止)等争議の頻発

→1948年 芦田内閣による公務員の争議を禁じた政令201号(←マッカーサー書簡)

・政党と労組が協力し、公務ストにより政治力を行使することへの懸念。

・国民全体の奉仕者である公務員は、自己の要求実現のため公務を放棄することを許されない。

・政府は人事院を設けて、給与・福利厚生の適切を期す。→人事院勧告の実施。

 

・人事院勧告…民間企業の実情を調査し、年に一度給与等勤務条件の決定について国会・内閣に勧告

       (内閣に実施義務はないし、過去には勧告どおり実施されていなかった)

       企業規模100人・事業所規模50人以上の事業所と公務員給与をラスパイレス比較

 

A平成17年度給与法改正のポイント(1)…今年度の給与改定

 10月20日衆議院総務委員会、10月28日参議院総務委員会で審議。

・月例給を0.36%減額。(民間給料380,703円と、公務員給料382,082円との格差是正)

 ・給料表の額を一律に0.3%下げ           (表の減額1057円、はね返り分118円)

 ・配偶者への扶養控除を13500円→13000円に引き下げ(214円)

・特別給に関して:期末手当3.0ヶ月(据え置き)勤勉手当1.4ヶ月→1.45ヶ月

・行政職(1)平均で、年間平均4000円の給与減額。(12月期末手当で調整)

 

B平成17年度給与法改正のポイント(2)…平成18年度からの給与構造改革

・年功序列型賃金体系から、より評価・職責を重視したものに

・物価水準が高い地域も含んでの官民格差比較→低い地域の水準に合わせて、後は地域手当で担保

 

・月例給:平均4.8%下げ。(若手職員は据え置き、概ね現行4級以上の職員から5−7%カット)

・俸給表の1・2級、3・4級を統合。

役職

係員級

主任級

係長級

課長補佐級

課長級

部長級

現行

1級

2級

3級

4級

5級

6級

7級

8級

改正後

1級

2級

3級

4級

5級

6級

 

・現行の俸給表の1級を4分割。勤務成績により、昇格に幅を持たせる。

新級

A(特に優秀)

B(優秀)

C(良好)

昇格幅

8号俸以上

6号俸

4号俸(管理職層は3号)

2号俸

なし

初任(1,2級)

20%(うちA5%以内)

 

該当する判断理由を

別に定める

中間(3−6級)

5%

10%

 

管理(7級以上)

10%

30%

 

・平成19年1月1日から、平成21年1月1日までについては昇給幅を1号俸マイナス

・経過措置として、平成18年3月31日時点の給料を保障。(新給料表の額が追い越すまで)

・上位に号俸を増設、給料表の枠外昇給を廃止→55才昇給停止をやめる。昇給幅は上の表の半分。

・昇格の際は、現行直近上位へ昇給させているものを、より昇格にメリットがあるように改定。

 →昇給カーブのフラット化とあわせて、「年功序列型」から「職責級」へ。

・管理職手当の定率→定額化(平成19年度から)

・地域手当の導入(H22年まで段階的に格差を是正)

15%

12%

10%

6%

3%

芦屋

西宮、宝塚

神戸、尼崎

伊丹、三田

姫路、明石、加古川、三木

・勤勉手当の改定(勤勉手当増額分のうち0.03ヶ月分…「優秀」な職員への査定原資)

 

特に優秀

優秀

良好(標準)

標準以下

成績率

0.86−1.45

0.785−0.86

0.71

0.71未満

人員分布率

5%以上(10%程度)

25%以上(30%程度)

 

 

※評価重視にシフト…公正な評価制度を短期間に確立できるのか?(国ではまだできていない。)

          相対評価でいいのか?

 

退職手当法改正…退職手当もフラット化。長期勤続者への支給を抑える反面、短期在職者は支給拡大。

 

C地方公務員に準用していく場合の留意事項

ラスパイレス指数…計算の仕組みを理解しておくことが重要。

         諸手当は考慮されていない。

        (変動要因)給料表、職員構成、特別昇給の有無等

 

人事院勧告を受けて:9月29日付総務事務次官通知

 ・特殊勤務手当、調整手当、通勤手当、(寒冷地手当)等についての適正化

 ・退職時一号昇給の廃止。退職手当の構造も国に準じて見直すこと。

 ・級別に対応する職務→条例に規定しておくほうが望ましい。

 ・「わたり」の是正。 「級別定数」の設定を厳格化。

 ・調整手当について不適正な支出が行われている場合、地域手当の導入を機に是正すること。

 ・人事委員会の権能強化により、より地域の実態を反映した給与とすること。

 ・現行の勤務評定を厳格に適用するなどして、勤勉手当の一律支給は是正していくこと。

 人事評価について考える

@何のための評価?

「国が成績率を導入するように言う」「ISOで言われている」から無理やりやるのでは意味がない。

 →長期的な視点で、自治体がどう人材を活用していくかの戦略が必要。

  多くの自治体で、長期的に「正職員の数をどう圧縮していくか」の計画はあるが、

  ・具体的にどういう形で正職員の守備範囲を限定していくか、明確な計画があるわけではない。

  ・自治体にとって、どのような人材が求められるのか定かではない。(←評価基準が作れない。)

 

「手当等で差をつけるために」評価をするのか?

 →自治体にとって人材を育成し、適正に処遇していくことが目的。

  「手当等に差をつける」のは副次的要因。(先行実施例でも金銭面での処遇をしていない例あり)


・今回の人事院案は「昇給」「勤勉手当」での二重評価との意見もある。
(私見)評価は昇格に活用すればいいのであって、無理に昇給に結びつける必要はないのでは?

・不十分な体制のまま強引に(形だけ)評価制度を導入するのは混乱の元。

A人事評価について。

人事評価(1)能力評価…現在どこの自治体でもやっているはず。

     (2)成績評価…ここが今回のポイント。

     (3)態度評価…業務達成に至るプロセスを評価。能力、成績評価に含むことも。

 

 能力評価…現在実施されているものが有効に活用されているのか?

      その職務に必要な能力を把握し、客観的な基準を作れているだろうか?

      →長期的な職員の能力開発につながっていかない。

      職能資格制度→コンピテンシー型評価制度

 

 成績評価…役所の場合、営業等のように数字に直ちに業績を反映できるものではない。

      自治体ではMBO(目標管理型制度)が多く取られる。

      →よほど慎重に調査・研究し制度設計をしないとただのノルマ管理になってしまう。

       ・「組織としての目標」を達成するために個々がどうすべきなのか

       ・無理な目標を押し付けることが絶対にないようにする。

       ・能力開発、勤務態度の向上等を目標に選定してはいけない。

      管理職ほど、成績評価のウエイトが重い。  

 

B制度設計について。

 ・決して拙速になってはいけない。(長野市では5ヵ年計画)

 ・職員の意見をくみ上げることが大事。

  ・組合が「評価制度反対ありき」で、「良い評価制度を作る」ための議論ができないケース。

  ・岸和田市、長野市などでは職員に対して実施したアンケートをWEB上で公表。

   →前向きな意見が拾える。

  ・やる気のある職員は、仕事をしない職員と同列に処遇されることに憤りを覚えている。

   (必ずしも金銭的な処遇だけを意味しない)

  ・「仕事をできない上司」に困っている。

  ・異動についての長期的なビジョンが持てないので、能力開発につながっていかない。

 

C事例紹介

1)複線型人事管理

  現在の役所の人事体系…ゼネラリスト(総合職)育成のためのシステム。

             一方で、スペシャリストも必要。

    ・ライン職(管理職)同様、能力を持ったスタッフ職を正当に処遇していく必要性。

    (ライン職とスタッフ職については、求められる能力が全く違う)

 

2)アントレプレナーシップ制度

   職員提案システム→有効に活用されているだろうか?

   職員提案に、予算・人材をつけて「庁内起業」

         ・自分の部局だけではなく、市全体の視点で物事を考える。

   横浜市:アントレプレナーシップの件数はまだそう多くはないが、職員提案が活性化

 

3)庁内公募制度

 

4)管理職試験受験制限の緩和。

  横浜市では係長試験受験可能年齢は28才。

  (管理職になる気のない人との住み分けができてしまう

   →1)の複線型人事管理を含めて対応していかなければいけない。)

 

5)組織のフラット化・グループ制

  ・事務事業の簡素化と言った側面で捉えられることが多いが、若手の職員を早期に責任のある

地位につけられるというメリットも。

  ・「目的」を理解していないと、「係」の名前を「グループ」に変えただけになってしまう。

   →グループ全体で広範な対応ができなければならない。

   →「スタンプラリー型」決裁システムをやめる。

グループ合意→部長→知事・副知事etc.

(鳥取では先に「決裁印は3つまで」と決めてしまった)

   現場への権限委譲(首長の政治姿勢?)