社町議会議員藤尾潔 議会報告H
2005.5.15
平成16年度補正予算
 年度末の3月議会では、予算額と実際に使用する見込みの額とを調整する補正予算が多く組まれます。今回問題だと思ったのは、病院会計へ2億円の赤字補てんを行うことでした。ここ数年は毎年のように赤字の補てんが繰り返されていますが、2億円というのは過去最高の金額であり、議案の紙を受け取ったとき顔面が蒼白になりました。(これは、年度始めに約3.8億円の補助・出資を行ったうえに、さらに上積みでの補助になります。昨年の社町の一般会計予算が約82億円だったことを考えると、病院への約5.8億円の出資・補助がいかに大きいものかおわかりいただけると思います。)
 このように巨額の赤字が出る見込みでありながら、議会に中間に報告などが一切なかったことなどについて質問をしましたが、赤字補てんを行わなければ不良債務が発生してしまうので、不本意ではありましたが賛成しました。また、私自身も合併に気を取られて、病院に対して注視していなかったことを反省しています。
 また、よく住民の方から、「予算を消化しようと不用不急の事業をやったりしていないか?」というご心配をいただくことがありますが、財政危機の折予算の消化などしている余裕はありません。不用額(予算のうち使わなかった部分)をひねり出して、財政危機を乗り切っている面があるのですが、今年は先にも書いた病院への赤字補てんが巨額なため、厳しい決算になることが懸念されます。
平成17年度当初予算
 平成17年度の当初予算についても審議されました。今年の目だった取り組みとして、
・合併の準備(電算システム統合・庁舎一部改修等)        約2.7億円
・社中学校の校舎 大規模改修工事                約1.7億円
・町道の整備(交差点の改良、舗装の新設・打換、用地取得等)   約5000万円
・町制50周年記念事業(7月26日に記念式典。記念誌を全戸配布)約1200万円
等があげられます。不要不急の事業を避け、退職者不補充による※名の職員削減等、厳しい予算編成になっています。以下2点、特に気づいた点について書きたいと思います。
@病院事業について
 今年も約4億円の出資・補助を行う予定ですが、昨年度予算の段階で約25億円の収入を見込んでいたものが、結果として約23億円。(これが冒頭にのべた赤字につながっています)今年度の予算ではまた約25億円の収入を見込んでいます。神経内科を医師2人制にする、地域医療連携室の機能強化等の改善策が示されましたが、収益の見通しが甘いように感じました。


A出張旅費等について
 昨年度、国の基準を上回って旅費が支給されている点を指摘し、「見直す方向で検討する」という答弁があったにもかかわらず、「合併と同時に見直す」ということで今回はそのまま計上されていました。また、多くの地域で廃止が相次いでいる、公務員が退職する際に特別昇級を行って退職金を上積みしている点についても、県町村会の労使交渉の中で妥結できず、廃止できませんでした。
 前号の議会報告でも書きましたが、社町では身内(公務員)のために悪質な手当や制度を作って厚遇しているという状況ではありません。先ほど述べた旅費・退職時1号昇級等は全体から見れば一部にすぎないのですが、「不適切なことを自覚しながら見直さない」という行政の姿勢に納得できなかったため、予算案には反対しました。

3月議会・一般質問
@改正児童虐待防止法おとびDV防止法に対する町の対応について。
 児童虐待防止法、およびDV防止法が改正され、市町村の役割が重要になってきます。そこで、現状と今後の対応について質問しました。
・児童虐待について、町内の事案で把握されているものが
平成15年・7件(身体的虐待2件 ネグレクト4件 心理的虐待1件)
平成16年12月末まで・6件(身体的虐待3件 ネグレクト2件 心理的虐待1件)
(注)ネグレクト…食事を与えないなど、日常生活の放棄
その多くは県の指導等により改善されたとのことでした。
また、DV(配偶者への暴力)でも、平成16年2月末までに電話29件・面接7件もの相談が県にあったとのことでした。
法改正により、特に児童虐待については通報の窓口が県から市町村に改められます。町長より、まずは対応できる職員の養成が重要であるとの答弁がありました。

A町内の防犯体制について
町内で起こった犯罪について、その現状と今後の対応について質問しました。
平成16年に起こった町内の刑法犯罪は計461件(昨年比69件減)
・犯罪の種類…建物侵入52件(うち空き巣31件)
       屋外での盗難308件(うち車上荒らし79件・車等の盗難64件)
       その他101件(うち振り込め詐欺等の知能犯罪 17件)
・起きた時刻…夜間、深夜が多い
・地区別…社交番管内297件、三草交番83件、福田交番44件、上久米交番37件
今年より県警OBの生活安全安心相談員を配置するなどの町としても取り組んでいるが、それですぐに犯罪がなくなるわけではない。各種団体との連携や、広報等を通じた意識啓発等をしていくことが大事、という答弁がありました。

また、防犯等の設置についても質問しました。
・委員会等で「区長さんから要望のあった防犯灯についてはすべて設置済み」という答弁があるが、本当に設置済みなのか→年度をまたぐケースもあるが、対応はできている
・滝野町では、防犯灯維持費の一部を社会福祉協議会が助成しているようだが、合併後維持費の助成はできないか→現行の社町の方式で統一(設置費は町、維持費は地元負担)
・県道についても、県と協議して町費で街灯をつけられないか→実施している所もある。
出訴の件
以前から指摘しています、参議院選挙の際の管理職への時間外勤務手当の支給について、3月19日神戸地方裁判所に提訴しました。
@昨年度6月議会で、管理職を選挙事務に従事させた場合に時間外勤務手当を支給するという条例案が提出されました。管理職に時間外勤務手当を支給することもさることながら、条例で「金額は町長が別に定める」旨の規定がありました。
 地方自治法では給与の額等は条例で定めなければならず、長・規則に委任してはいけないことになっています。この条例は違法であるとの指摘をしたのですが、根拠も示さず「問題ないと考えている」という答弁があって賛成多数で条例は可決されました。
A今回の管理の職務は期日前投票管理者でした。町の条例で、民間の方には1日11,200円でお願いすることになっています。はじめ理事者は「管理職に通常の時間外勤務の規定をあてはめると、民間の方にくらべて法外な額になるので、長が定める中で調整する」という説明をしたのですが、「それでは時間外勤務手当ではないではないか」という指摘があったのに対して休憩の後「先ほどの答弁は取り消します。通常の時間外の規定にあてはめて支払います」と答弁をし直しました。理事者は条例の不備を指摘されて、当初は法外な金額であると自覚していた金額を支払うことにしたのです。(2時間半の残業で平均13,000円くらい)あまりのいいかげんさにびっくりしました。
B6月議会終了後、条例の違法性の指摘に対して文書で回答をすること、違法の可能性がある限り実際の支給は行わないこと等を求めた内容証明郵便を町長宛てに送りましたが、返事はありませんでした。
Cその後総務省に問い合わせをすると、「額は長が別に定める」という部分については、「違法かどうかの認定は裁判所しかできないが、給与条例主義の観点から法的に好ましくない。」選挙の時だけとはいえ、管理職に時間外勤務手当を支給することについては「
法律上の明確な根拠はないが、適切な運用ではない」との回答がありました。
D9月議会で、総務省の見解をもとに条例を見直すように質問しましたが、「地方公務員法の参考書に出してもよいのではないかと書いてあった。近隣でも同様の条例を持っているところはある」という趣旨の答弁。話がかみあいませんでした。
Eその後町長・助役・担当課長と5回話し合いを持ちました。まず、文書で今回の条例の法解釈について総務省に文書で照会するよう求めましたが、「行う必要はない」とのこと。後でわかったことですが、県に問い合わせをして「不適切な運用」という回答を町は受けています。文書で不適切、という証拠を残したくなかったのでしょう。また、話し合いの過程で町は今後この条例に基づいて時間外勤務手当を出し続けると大変なことになることはわかっているようでした。「実際の支給を行わない等、運用面での改善は考えられるが、条例を見直すことはできない。」その理由をたずねると「6月に議会にお願いして可決してもらったものを12月に訂正するわけにはいかない」
最後田中助役と話した際には「このままでは裁判になってしまう。なんとか見直せないか」と言ったのですが、「裁判していただいてかまいません。条例の見直しはする気はない」とのことでした。「行政が、胸を張って正しいと言えるお金で、僕達と話が合わずに裁判になっても仕方ないでしょう。ただ、今回は県や国にも不適切と言われる中で、受けて立つことになっても本当にいいんですが」と翻意を促しましたが、無理でした。
F行政からは無理でしたので、私と磯貝議員の連名で12月議会に条例改正案を提出しましたが、藤田議員より「6月に決めたことの重みがわかっていない」大畑議員よりは「私は長が別に定めるという部分も含めて賛成した」という意見があり、反対多数で否決されました。その後、裁判への過程として住民監査請求を実施しましたが、「近隣と比べて額が突出しているとはいえない」等の理由で、条例の違法性等には触れず却下となりました。(額についても、小野市の場合は全職員時給2300円だったので、2時間半でも5750円。個人的には1万円越えたら十分突出している気はするのですが・・)
G監査の結果が出た時点で、私たちには「違法条例だとは思いつつ、見逃す」か「訴訟にふみきってでも是正を求める」のどちらかしか選択肢はありませんでした。訴訟をすると、我々はともかく、町にも応訴の弁護士費用がかかることは議員として知っていましたから、9ヶ月の間、訴訟を回避して解決する方法を模索しましたが、無理でした。
(今議会に弁護士手数料150万円の補正予算が組まれていました。町費からの支出だと考えると胸は痛みますが、この流れの中では出訴以外の道はなかったと思います。)
H最近違和感を覚えるのは、町の幹部や賛成した議員が、県の見解を受けて「不適切であっても違法ではない」と胸を張って言っていることです。第三者ならともかく、当事者なのですから、不適切だと思っているなら見直さなければいけないと思うのですが…